Friday, October 19, 2012

ホステル冥利?


春は別れの季節といいますが、秋も、否、世界的に言うと秋の方が別れの季節と言えるのではないでしょうか。気候も涼しくなり、どこからともなくキンモクセイの香りもしてきて、個人的にはこの独特の『寂しさ』は言う程嫌いではなく、黄昏時には柳と石橋をバックに「中島川ブルース」(即興)を口ずさみながらついつい柄にもなく哀愁に浸ってしまったりします。



人生において見送る立場と見送られる立場が訪れる割合は本来は半々くらいがバランスが取れて良いのではないかと思うのですが、言うまでもなく宿泊業なるものを生業としていると見送る立場の方が圧倒的に多い訳で、このいかんともし難い不公平感はやはりいかんともし難いわけで実に悩ましいところです。

もちろん相手の無事を祈り常に優しく見送る立場でいるというのはそれはそれで楽しくもあり、実際役割としては寧ろ見送られる方より大切だとも言えると思うのですが、毎日毎日こうも見送ってばかりだとたまには見送られる側になってみたいという欲求も出てきます。

昔、卒業式でただ卒業するだけなのにちょっとちやほやされて、なぜか偉くなったように感じたあの感覚とでも言いましょうか、要はちょっとばかり周りに心配されたりかまったリしてほしくもなったりする訳です。しかしやはり仕事柄それが叶わぬ我々は今日も明日もただただ見送る側に徹します。

いや、愚痴ってる訳ではありません。

次の目的地そして明日へ未来へと旅立つ人を送る事はホステル冥利に尽きる

と言いたい訳です。

昨日も長期で宿泊いただいたお客さんが旅立たれました。お客さんと言えども長い間いっしょにいるともはやそこにいるのが当たり前の家族のような感覚になり、いざ旅立つ時にはとても寂しくなるものです。しかし別れは新たな出会いの始まりでもあり、そこにネガティブな要素など何もありません。従って笑って見送る事が我々の使命でもあります。

Thank you Glover san
Thank you Texier san


朝晩は寧ろ寒いくらいのこの時期。そんな具合にお客さんを見送った後、調子に乗って「中島川ブルース」(即興)を3番まで口ずさんでたらしっかり風邪をひいてしまったので、只今大切なお客さんにウィルスの手みやげを渡していないかがちょっと気がかりなところです。

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